春爛漫、待ちわびた季節の中、日の光を浴びた桜は満開を迎え、誇らしげに町や野山を薄い桜色一色に染めます。人々は群桜に見とれ、今年も桜の季節を迎えた喜びに浸ります。しかし、1週間もたたぬまに可憐な花びらは風に散り、落ちた花びらが水面に浮かび、その流れる様子を「花筏」と呼びます。花びらの筏は、春を送るように切ないほど美しく水面に漂います。
はらりはらりと散る花びらは、雪片のように風に舞い、ときには視界を覆うほどの桜吹雪となり、大地へ、水面へ帰ってゆきます。小川を流れ、泉に揺れ、また古城の堀の水面を覆い花筏を作ります。静止している花びら、水や風の流れに沿って流れてゆく花びら−。
今、この瞬間にしか見ることのできない華麗な春模様を描きながら、静かに朽ちてゆくのです。来年も再来年も訪れる桜の季節、しかし同じ春模様は決して作られることはなく、可憐な花びらと水が織り成す、美しい一期一会の時は、春を惜しむ花としていつまでも私たちをたたずませます。
4月のおついたちは、京都の料亭専門の重箱屋さんに行き、たくさんの花見辨當箱の中から黒を選んできました。そして、その中にほのかな桜葉の風味とともに花盛りの“春”をいっぱいにしてみました。
ひとつは、川面を埋め尽くす様子を、雪平生地で花筏に。そして、大正時代の五色たなびく荒川堤の五色桜を思い浮かべていただきながら、薯蕷で桜のお饅頭をたっぷりとおつくりしてみました。
あなた様も、桜が散りはじめないうちに早く花見遊山にお出かけをどうぞ・・・。少しばかり塩漬けの桜をお入れ致しましたので、お湯を注いでお花見をお楽しみください。
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| 元気で生きる 主人 田口 恵美子 |
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